看板なおし

 午前中は、同じ課のOさんとパートのTさんと玄関前にあったなんとか相談室の看板の修理をする。
 この時期、看板の修理をしている場合でないのだけど、事務仕事より体を動かしているほうが性分にあうのでふらりふらり先行して作業しているOさんの様子を見に行くと、気になり始めて手を出し口を出し、ついに作業に加わってしまう。
 看板の修理と言っても看板の塗装や溶接などの修理ではなく、さびにより土台から折れてしまった看板の足を再び地面に立たせるいたってシンプルな作業なのだが、シンプルゆえにできばえから品質まで高いクオリティーを要求される作業かもしれない。それに人目によく着く場所なので、やっつけにはできない。といった理由をこねて、デスクを離れて作業を手伝う。作業の概要は下記の通り。
 看板を立てかける場所にスコップで5,60センチの穴を2つ掘る。看板の足2つ分。その穴にコンクリートの箱型の土台を入れ、その周りにざくっり割った砕石を入れ土台を穴の中である程度固定する。すでに基礎としてにコンクリートブロックを地面に敷いて入れているため、箱型の土台を乗せてもぐらつかず安定している。
 そのコンクリートの箱型の土台はてっぺんに正方形の穴が空いており、その中に既存の看板の足を差し込む。その後、足の傍に杭を打ち込んで看板の足を針金で縛り付け、後で入れるコンクリートが固まるまでの支えを作る。ただ、看板の足はほとんど土台の穴の中で固定されているので、後からつけたこの杭の存在意義はかなり薄かった。
 このように土台に看板の足を固定した後、どぼどぼとペースト状に作ったコンクリートを流し込むのだが、このコンクリートを溶かす作業が見かけ以上にかなりの肉体労働であることに気づくのは、作業を始めてものの5分もしないうちにYシャツの袖をまくって額の汗をぬぐい始めてから。
 桶一つ分のコンクリートを作るのも大変で、コネ始めの水気を吸って重くなり始めたコンクリートがとにかく重く、半可な力ではへらを上手く動かせない。水を入れてコンクリートの灰色が乾いた灰色から暗く湿った灰色に変わるまでこねるのが力を入れるピークで、水を足したし粘度が下がり始めるとようやく楽になる。たかだか桶1つ2つのコンクリートを練ってみて、初めてミキサー車の偉大さがよく分かった。子供ができたら、ミキサー車の大変さが分かる子供に育てようと思った。
 コンクリートを入れて終えてから、砕石の周りに砂や土を入れて締め固める。穴の上に土を盛って、水を撒いて土を固めた。こんな感じで午前が過ぎた。爽やかによく晴れた天気で、今日はいい作業日和だった。
 というわけで、もしうちの職場に用があったり、たまたま前を通りかかることがあるとしたら、その正門の傍にある白い看板は私が少し直すのを手伝った看板だと思ってみてください。
 

 午後から後任の職員がやってきて、仕事内容の引継ぎをした。結構、ベテランの人で気をつかった。


 作業で疲れたのか、知らない人と話すのに気疲れしたのか、夕方からの夜勤ではかなりぐったりした。

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