古事記の世界

読んだ。

古事記の世界 (岩波新書 青版 E-23) (岩波新書 青版 654)

古事記の世界 (岩波新書 青版 E-23) (岩波新書 青版 654)

 須佐之男高天原で大暴れしたエピソードから天岩戸や天孫降臨まで、大嘗祭での儀式の手順をモチーフに神話化したものというのがこの本が大きく述べていたいところだとおもう。そして、このモチーフだけでなくて、いざなぎが黄泉の国から逃げる話や大国主命根の国から逃げる話、またはいざなぎと山幸彦の見るなの禁を犯す件についても、同じモチーフが反復して語られ、多重の層を成している。逃げる話は古代の成年式、成人式のイニシエーションの様子をモチーフにしているとのことで、天皇が即位して始めてやる新嘗祭に関係しているとのこと。


 このような感じで祭式にまつわる儀式をモチーフにした物語のベースがあり、それを各時代でを反復して叙述するので、聴くものにとって前にも聞いたことのある話を再び聞くことで神話の再構成が図られるという話。


 再構成云々は、レヴィ=ストロースの神話が世界を全体的にまとめて理解する思考法であるというところから、こういう反復の形が伝承の中で選択されたのだろうと自分なりに解釈してみた1日。